リースバックは、自宅や自社ビルなどを売却後も、そのままの状態で住み続けたり、使い続けることができる不動産売却の方法です。この大きな資産である不動産を、資金調達の手段に変えるリースバックが徐々に認知度を上げてきております。それに伴い【リースバック トラブル】も発生するのではないかと思います。
リースバックとは、セール&リースバックの略語です。売ってもそのまま住み続けられる、引越しをすることなく自宅や自社ビル等を現金化できる不動産売却の方法です。リバースモーゲージ等に比較しても利用しやすい面もありますが、リースバックはトラブルが発生しやすいというのも事実です。
本来は、売却後も同じ家に住み続けることができますし、買戻しも可能ですが、悪徳業者と取引をしてしまい、契約後に、「最初と話が違う!」といったトラブルもございます。ここではリースバックを利用するにあたり、どの様なところに気を付けたらよいのかを解説いたします。
- リースバックに取り組む上での心構え
- 離婚で自宅を売却する場合のリースバック
- 終の棲家としてのリースバックを希望する場合
- リースバックは魔法の杖では無い
- リースバックの契約で買主となる不動産会社の収益はどこで発生するか考えてみよう
- まとめ
1.リースバックに取り組む上での心構え
ーリースバックにおいて「何に」優先順位を持たすかを検討ー
リースバックは自宅を売却するが、買主と賃貸契約をして、住みながらにして自宅を売却できるという便利な方法です。但し、リースバックに取り組む上で、ご自身の優先順位が明確でないと気を付けるべきポイントを見逃す可能性があります。売ってもそのまま住み続けられますが、所有者ではなくなるということです。リースバックに取組む上での心構えは、将来、トラブルを回避するためにも不可欠です。
そのため、まずは、ご自身がリースバックを利用するのは期間がどの程度なのか、何にプライオリティを置くのか、をよく検討する必要があります。
2.離婚で自宅を売却する場合のリースバック
たとえば、離婚するので自宅を売却し、リースバックを利用する方の場合、子供が中学校を卒業するまでの期間は利用したいが、その後は引越してもよい等、将来のプランを明確にしておくことをお勧めします。
小学生の子供が中学校を卒業するまでの5年間はこの場所に無理なく住みたいという事であれば、退去を前提とする5年の定期借家契約を締結して、その代わり家賃を安めに抑える事に注力した方が良いかもしれません。
3.終の棲家としてのリースバックを希望する場合
一方、高齢でリースバックを利用される方の場合には、定期借家契約では途中で退去し、新たに入居先を見つけなければなりません。
高齢者であり、更に数年後に居住出来る部屋を見つけるのは困難だと想像できます。その様な方の場合には一番の優先事項は価格では無く、死ぬまで住み続けられる普通賃貸借を締結する事が大前提となります。
また、家賃設定も年金受給者になるので低い金額である必要があります。その場合には売却して調達できる資金額が少なくなるのも仕方ないと考えるべきです。
4.リースバックは魔法の杖では無い
リースバックを利用する際に、理解して頂きたいのは、リースバックは魔法の杖ではないという事です。資金調達額が高く、家賃が低く、賃貸期間も借主の思いのまま更新出来て、将来は安い価格で買戻しが出来る。そんなリースバックは無いのです。
資金調達額が高い場合は、買主にとって先が見える定期借家契約である事が多くなりますし、家賃も高い事が多いです。高く売れるからと価格だけに釣られてしまうと、本来は望んでいなかったタイミングでの退去や、高額な家賃負担を余儀なくされるかもしれません。
せっかくリースバックという方法で、自宅に住み続ける生活を守る事ができたにも関わらず、最終的には望まないタイミングでの退去となってしまっては元も子もありません。
5.リースバックの契約で買主となる不動産会社の収益はどこで発生するか考えてみよう
リースバックを利用してマイホームを売却する前に、リースバックの契約を結ぶ相手である買主の立場になって考えてみる事もお勧めします。この場合、買主の不動産会社はどこで収益を得るのでしょうか?
リースバック契約の場合、不動産会社の収益の源は、賃貸借契約による毎月の家賃か、退去後に売却する売却益になります。
収益源が家賃メインの場合もまれにありますが、多くの場合、賃貸人となった売主が退去後に、その不動産を売却する売却益が収益の源となります。という事は、本当はできるだけ早く退去してもらい、売却し収益を得たいのです。
もしあなたが、「できるだけ長期間住むこと」が重要なポイントであるならば、相手とは相反するという事になります。
ですから長期間、退去しない契約を結ぶという事は、家賃を高めに設定するか、売却価格が低めでないと買う側にメリットが無いという事になります。いわば、賃貸期間、家賃、資金調達額は相反する関係です。
家賃と売却額の関係(契約期間が同じ場合)
家賃高い | 家賃低い | |
売却額(資金調達額) | 高い | 低い |
賃貸契約期間と売却額の関係(家賃が同じ金額の場合)
契約期間短い | 契約期間長い | |
売却額(資金調達額) | 高い | 低い |
まとめ
リースバックを利用する場合、上記の様な売却金額、賃貸借契約期間、家賃設定等の様々な組合わせの中からご自分の生活に無理のない、負担が掛からない方法を選択していく必要があります。
そのためにはリースバックを利用する前に、あなたご自身がよく仕組みを学ぶ必要があります。また、私共の様な仲介をする立場の者は、売主の皆様の納得感が得られる様に、十分に説明・教育する義務があると思っております。リースバックの件でご不明な点がありましたら、ぜひご連絡ください。