
2025年5月下旬、日産自動車が横浜市に構える本社ビルの売却を検討しているという報道が注目を集めています。背景には、業績悪化による資産整理や財務体質の強化といった事情が見え隠れしており、その手法として“リースバック”の活用が有力視されているとのこと。
日産だけでなく、近年では電通、エイベックスなど名だたる大手企業もこの手法を導入しており、「売却=撤退」という従来の見方は大きく変わりつつあります。本記事では、日産の最新動向とともに、過去の事例と比較しながらリースバックの意味や影響を深掘りします。
目次
- 1.リースバックとは?「売っても使い続ける」柔軟な資産戦略
- 2.日産のリースバック検討報道――苦境と向き合う「現実的選択」
- 3.電通、エイベックスの事例に学ぶ「リースバック」の狙いと波紋
- 4.本社ビル売却の“本当の意味”──アイデンティティの変化
- 5.まとめ:日産の判断は象徴的な“経営再編”の一手か
1.リースバックとは?「売っても使い続ける」柔軟な資産戦略
まずリースバックの仕組みについておさらいしておきましょう。
企業が所有する不動産を第三者に売却し、その後その物件を賃貸契約により使い続ける手法です。「キャッシュは欲しいが、機能は維持したい」場合に有効で、資産の流動化と経営の柔軟化を同時に実現する戦略とされています。
この手法が注目される背景には、企業が手元資金を厚くして先行投資や負債返済に回すという狙いがあり、不動産の売却が必ずしも“退却”や“撤退”を意味しない時代へと変化しているのです。
2.日産のリースバック検討報道――苦境と向き合う「現実的選択」
今回話題となっているのは、日産自動車が保有する横浜市の本社ビル。2009年に東京・銀座から移転したこのランドマーク的施設が、約1,000億円規模での売却対象とされており、売却後もそのまま使い続ける「リースバック」形式が選択肢に含まれていると報じられています。
実は日産にとって「本社ビル売却」は初めてではありません。1990年代後半、当時の銀座本社ビル(新橋演舞場に隣接)を森ビルに売却し、その後もしばらく賃貸契約で使用していた過去があるのです。
当時、座間工場などの拠点整理を行いながらも、2兆5000億円超の有利子負債を抱えていた同社にとって、本社ビル売却による150億円の資金は「焼け石に水」状態。その後のルノーとの提携強化へと繋がる節目でもありました。
今回の売却は、あの頃のような切羽詰まった判断ではなく、より戦略的な判断とも読み取れますが、その舞台裏には同様に厳しい経営環境が横たわっているのです。
3.電通、エイベックスの事例に学ぶ「リースバック」の狙いと波紋

日産に先んじてリースバックを活用してきたのが、広告大手の電通と、エンタメ企業のエイベックスです。
【電通】
2020年、東京・汐留の自社ビル「カレッタ汐留」を売却し、同年中に約3,000億円の特別利益を計上。コロナ禍による業績悪化とリモートワークの加速を受けた大胆な決断でした。売却後もオフィスとして継続使用しており、社内外からは「実質的には変化なし」とする声も。
【エイベックス】
同様に、東京・青山の本社ビルを売却。得られた資金を新規事業投資や財務健全化に充て、拠点をミニマル化することで事業の“選択と集中”を進めました。
いずれも「本社機能を維持しながら、財務バランスを調整する」ための施策であり、日産の動きもその流れを踏襲している可能性があります。
4.本社ビル売却の“本当の意味”──アイデンティティの変化

企業にとって「本社ビル」は単なるオフィス以上の意味を持ちます。社員の帰属意識やブランドイメージ、対外的な信用にも関わるため、売却はある意味で“アイデンティティの刷新”とも言えるでしょう。
しかし、変化が求められる今の時代においては「本社ビル=企業の顔」という固定観念も薄れつつあります。物理的な所在地よりも、柔軟な経営判断や時代に即したリソース配分が評価される時代へと突入しているのです。
5.まとめ:日産の判断は象徴的な“経営再編”の一手か

今回の日産の本社ビル売却検討は、同社の再建戦略の一環であり、同時に日本企業全体の資産戦略が変化していることを象徴する出来事です。
「固定資産を持たない=弱い」ではなく、「必要なときに活かす=賢い」へと価値観がシフトしている今、リースバックは単なる財務テクニックではなく、企業の意思決定の在り方そのものを映し出しているのかもしれません。
日産は日本を代表する大企業ですが、中小企業でもリースバックを本社ビル、工場、店舗で活用している事例も増えてきております。特に将来的な移転(もしくは縮小)までの繋ぎで活用されるケースが多いのが実情です。
私たち「マイホームだけは守らナイト」は、自社ビル・店舗・事務所・工場・作作業場等のリースバックも対応しております。ご相談はいつでも無料です。
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