売ってもそのまま住み続けられるリースバックは、自宅や店舗、事務所を売った後、毎月家賃を払いながら住み続けたり、経営を続けたりできるというものです。
ですからリースバックを利用して建物を売る場合、もちろん建物が高い金額で売れるに越したことはないですが、そこに住み続けるための家賃が高過ぎないか、
払い続けられる家賃か、ということの方が優先ではないでしょうか。
家賃に関してのリースバック トラブルも少なくありませんので、契約前に確認しておくべき点かと思います。ここでは、リースバック トラブルを回避するために、リースバックと家賃の関係に関してご説明いたします。
1.リースバックの家賃とは違う!通常の家賃決定のメカニズム
リースバックと家賃についてご説明する前に、まずは一般的な賃貸物件の家賃の決定のメカニズムを簡単にご説明します。
賃貸物件の家賃の決定のメカニズムは、貸す側と借りる側の需要と供給によって決定されます。
たとえば、目黒区下目黒で、目黒駅から5分以内の5階建の賃貸マンションのオーナーがいるとします。
このマンションは、今2部屋空室がありますが、オーナーとしては、もちろん満室にしたいと願っております。
このエリアを探している借りる側の人が現れ、上記の物件を含め、10万円の家賃で、その他の希望条件に該当する物件が5件あった場合、家賃が8万円なのか、もしくは9万5000円なのかも決定要素の1つとなります。
市場にある複数の物件の中から自分が気に入った組み合わせを選択した結果、8万円の部屋を選択するかもしれませんし、9万5000円の予算の上限に近い部屋を選択するかもしれません。また、同じそのエリアで借りたい人が多くなれば競争が激しくもなります。
一方、オーナーも、貸す側の間での競争があります。自分の貸したい部屋を、より魅力あるものとしてアピールする為に様々な工夫をします。そのアピールの1つが家賃になりますし、ライバルが多ければ、優良な借り主を取られない様に家賃を下げるかもしれません。
貸す側は、できれば高く貸したいが、ライバルに借り主を取られるなら家賃を下げる事もやむを得ず、
借りる側は、なるべく安く借りたいが、気に入った部屋をライバルに取られるなら、家賃の値下げを諦める事はやむを得ない、と考えます。
このように、家賃決定のメカニズムが、貸す側と借りる側で生じます。これは家賃に限った事ではないかと思いますが、同じ立場である他者との競争に負けないように競り合うことによって、市場の価格は決まってくるものです。
2.リースバックの家賃はどう決まる?
リースバックの家賃は、上述のようなメカニズムで決まってくるものではありません。
リースバックの家賃は、今まで自分が暮らしてきた中での汚れや傷も含めてそのままの状態で住み続けるという特殊な契約となります。
何より、リースバックの契約の目的は、自分の家は売るけれど、そこに住めることです。リースバックをする際、私たち「マイホームだけは守らナイト」も複数の業者にヒアリングしますが、賃貸の条件を事前にきっちりと固めて伝えて比較する必要があります。
実は、賃貸の条件が一定でなければ自分にとって本当に一番良い買い手がどこの業者であるのかというのが判断出来ないのです。
賃貸の条件として、
●ずっと住める普通賃貸借なのか
●一定の期間だけ住む定期借家なのか
●ずっと住むために払っていける家賃なのか
●優先順位は家賃の事よりも、高く売りたいのか
等、借主の希望に寄り添う必要があります。
そもそも、良心的な仲介業者であれば、将来的に払えなくなるような家賃設定をしないものです。
私たち「マイホームだけは守らナイト」の担当者が、リースバックの査定のヒアリングをする際、以下のような聞き方をします。
「品川区東五反田3丁目の○○マンションの301号室ですが、広さ63㎡で、普通賃貸借で家賃9万円にて住み続けたいという事です。リースバックだったら幾らの価格出ますか?」
リースバックでの家賃はある程度、自分で決められるという事です。その決められた家賃設定の中からどの業者が一番高い価格を付けるかという事が次のポイントになります。
リースバックの場合、近隣の家賃相場に合わせるものではなく、あなたの生活設計がどの程度の家賃の支払いなら成り立つかが主軸になります。
3.リースバックの家賃が安くても売れるの?
リースバックの家賃が安くても売れるの?と心配されるお客様もいらっしゃいます。
リースバック物件を購入する側は、通常の不動産投資とは異なり、家賃と価格のみで利回り何パーセントだからこの物件は購入します。利回りが低いので買いません。という形では動いておりません。
確かに、利回りも1つの購入価格を決める基準にはなりますが、それよりも重要なのが、最終的なエグジットがし易いか、し難いかになります。
たとえば、賃貸借の条件が定期借家で、2年後に退去する場合、買主は確実に2年後に売却活動に入れます。
一方、普通賃貸借で10年以上住み続けたい場合、10年間は売却できないので、利回りの比重が変わってきます。
つまり、2年で直ぐに出るのであれば2年後以降に売却の利益を実現できますが、普通賃貸借では10年後、もしくは15年後になるかもしれない退去となり、利益が全く見えない形となります。
そのため、エグジット時期の見えない物件程、より利回りが重要視されるものです。
まとめ
リースバックの家賃というのは決定プロセスが普通の賃貸借契約とは全く異なります。
また、リースバックの買い取り金額は、賃貸借の契約形態によっても大きく異なり、普通賃貸借か定期借家契約を決める事も非常に重要となります。
せっかくリースバックを利用しても、家賃が払えず破綻しては元も子もない状況になってしまいます。
リースバックの家賃は、後に後悔やトラブルとならないためにも、業者や買主に決められるものではなく、ご自身が積極的に発言していくべき部分であると思います。