リースバックと比較検討されるリバースモーゲージですが、このリバースモーゲージを考えるにあたり、まずは自宅不動産の位置づけを考える必要があります。
日本人の資産形成の大きな部分を占めているのが自宅不動産の購入や建築になります。ここでは、リバースモーゲージのリスクや注意点、メリットを、リースバックの専門家が詳しく解説します。まずは、結婚を機にマイホームとして自宅を購入した人を例としてお話し致します。
1.リバースモーゲージ 資産の有効活用とは
この方は、結婚後、自己資金を投下し、住宅ローンを借りて物件を購入しました。そして、住宅ローンを払い終わる頃には60才を過ぎております。
きっと多くの人はこの時点での資産と言えば自宅がほとんどという状態でしょう。このタイミングで、リバースモーゲージを利用すると、自宅に住み続けながら、資産の有効活用ができるという事になります。
2.リバースモーゲージ メリット
リバースモーゲージのメリットは自宅を担保に資金を借りれる事です。
また、自宅を手放す必要はなく住み続ける事が出来るのが最大のメリットです。
また、リバースモーゲージは不動産の所有権をそのまま維持できるので精神的には自宅を所有しており、住宅ローンを返済していた頃とあまり変わりなく住むことができます。
3.リバースモーゲージ デメリット
リバースモーゲージを検討する前にデメリットについてもしっかり把握しておく必要があります。
3-1.年収の問題
リバースモーゲージには、先述のような大きなメリットがあります。ですが、一方でデメリットも多々あります。
私がリバースモーゲージに取り組む時、いつも壁にあたるのが、借手の年収の問題です。
リバースモーゲージの借手は多くの場合に年金受給者等の収入の少ない人ですが、その様な方々の多くがクリアできない年収の基準が各金融機関にあります。例えば、年収300万等…
3-2.担保掛目や貸出額の問題
2つ目の問題点は担保掛目になります。通常の住宅ローン等の融資よりも掛目が非常に低いのが特徴です。
理由としては、リバースモーゲージはその制度上、所有者が亡くなるまで自宅が維持される為、その不動産を売却出来る時期の予測を立てることが非常に難しくなっております。
たとえば、現在70才という年齢。人によっては、71才で亡くなる場合もありますし、100才まで生きる場合もあります。
そのような理由から、不動産の処分時期が、1年後なのか、それとも30年後になるのか、検討が付けられません。
リバースモーゲージを提供する金融機関としても、売却時期が定まらないという事になるので、売却金額も定まりません。得てして担保価値がかなり低く抑えられてしまいます。
4.リバースモーゲージを利用出来る人
バースモーゲージを利用出来る人は、年収が高く、認知症などの意思決定に問題が無く、相続人等の家族の理解もある方になります。
幾ら年収があっても、認知症等になってしまっては借入が出来ません。ある意味健康な状態でなければ難しいという事です。
また、家の中で相続トラブル等の火種がある場合にはリバースモーゲージの貸し手の金融機関も実行を渋ります。
5.リバースモーゲージの返済
リバースモーゲージの返済は、所有者が亡くなって、その居住不動産を売却する事によって行われます。
ただ、所有者が亡くなっても、相続人等の人が引続きリバースモーゲージの返済をする事によって自宅の売却を免れる事も可能な場合もあります。
まとめ
リバースモーゲージは高齢者の方が不動産を担保にお金を借りる良いスキームに思われますが、実は意外と問題が多いのが現状です。
リバースモーゲージを利用出来る人は市場性のある土地に自宅をお持ちで、なおかつ、かなり年収の安定している人が対象となります。
銀行は雨の日では無く晴れの日に傘を貸すと揶揄される状況となります。
リバースモーゲージよりもリースバックの方が高齢者の方の不動産活用した資金調達では現実的かもしれません。