向井 啓和 不動産アドバイザー
不動産・資産運用分野で20年以上の経験を持ち、シニアの住まい・リースバック支援・不動産の相続対策等に注力。わかりやすく、クリアな情報提供をモットーにしています。
※本記事でご紹介した内容は、2025年8月26日作成時の、市場データや公表資料をもとにまとめた一般的な情報です。物件の条件や時期によって状況は変わるため、具体的な契約判断は当社窓口や専門家にご相談ください。(2025年12月4日更新)
「リースバックで一時的に資金を確保したけれど、愛着のあるこの家を将来必ず買い戻したい」 「でも、本当に買い戻せるのだろうか…?買戻しの価格は?住宅ローンは組めるの?」
リースバックを利用された方、あるいは検討中の方にとって、将来の「買戻し」は大きな希望であると同時に、不安の種でもありますよね。
この記事では、そんなあなたの不安を解消するために、リースバックの買戻しに関する様々な疑問にお答えします。買戻しの基本的な仕組みから、気になる価格相場、難しいと言われる理由、そして住宅ローン利用の可能性まで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
この記事を読めば、リースバック後の買戻しを成功させるための具体的な道筋が見えてくるはずです。
リースバック後の買戻しについて、専門家が価格相場や住宅ローン利用の可否を解説します。
買戻しは権利であり義務ではないため、買戻しをしない選択や親族による買戻しの可否など、契約上の重要な疑問に回答。
買戻し価格は契約前の交渉が鍵であり、不動産取得税などの諸費用も発生します。将来のリパーチェスを成功させるための具体的な知識を提供します。
目次
- 1.リースバックの買戻しとは?仕組みと流れ
- 2.買戻し価格の相場と計算方法
- 3.リースバックの買戻しが難しいと
言われる3つの理由 - 4.買戻しで住宅ローンは利用できる?
審査のポイント - 5.買戻しを確実にする「買戻し特約」の重要性
・買戻し特約のメリット・デメリット
・契約書で確認すべき4つのチェックポイント - 6.リースバックの買戻し」よくある質問
- 7.まとめ
買戻しを見据えたリースバック
お気軽にご相談ください。
1.リースバックの買戻しとは?仕組みと流れ
まずは、リースバックにおける「買戻し」の基本的な仕組みと、売却から買戻しに至るまでの流れを理解しておきましょう。
リースバックにおける買戻しの仕組み
リースバックにおける買戻しとは、リースバック契約によって一度売却したご自宅を、将来的にご自身(またはご親族)が再び購入し、所有権を取り戻すことです。
通常の不動産売買と異なり、これはリースバック契約時に「将来買い戻す権利」を約束してもらうことで実現します。この権利がなければ、買主が売却に応じてくれる保証はありません。
そのため、将来の買戻しを希望する場合は、契約時にその意思を明確に伝え、書面で約束を交わすことが不可欠です。
売却から買戻しまでの基本的なフロー
リースバックを利用してから自宅を買い戻すまでの流れは、一般的に以下のようになります。
- 1. リースバック契約の締結 将来の買戻しを希望することを伝え、「買戻し特約」を含んだリースバック契約を締結します。
- 2. 賃貸借期間 買主(新しいオーナー)に家賃を支払いながら、賃貸として同じ家に住み続けます。この期間中に、買戻しのための資金計画を立て、準備を進めます。
- 3. 買戻しの意思表示 契約で定められた期間内に、リースバック会社(買主)に対して家を買い戻したいという意思を正式に伝えます。
- 4. 買戻し資金の調達 自己資金や親族からの援助、あるいは金融機関からの住宅ローンなどで、買戻しに必要な資金を準備します。
- 5. 不動産売買契約の締結 買主との間で、改めて不動産の売買契約を結びます。
- 6. 決済・所有権移転登記 売買代金の全額を支払い(決済)、ご自身へ所有権を移すための登記手続きを行えば、買戻しは完了です。
買戻しができる期間の目安
買戻しができる期間に法律上の決まりはありませんが、一般的にはリースバック契約から数年〜10年程度に設定されるケースが多く見られます。
この期間は、リースバック会社の考え方や契約内容によって大きく異なります。期間が短すぎると資金準備が間に合わず、長すぎると買主側が同意しにくい傾向があります。契約時に「いつから、いつまで」買戻しの権利を行使できるのかを必ず確認しましょう。
2.買戻し価格の相場と計算方法
「一体いくらで買い戻せるのか?」これは最も気になるポイントの一つでしょう。ここでは、買戻し価格の相場と計算方法について解説します。
買戻し価格の相場は売却価格の
1.1倍から1.3倍
結論から言うと、買戻し価格の相場は、ご自身が家を売却した時の価格の1.1倍〜1.3倍程度に設定されるのが一般的です。 例えば、ご自宅を2,000万円で売却した場合、将来の買戻し価格は2,200万円〜2,600万円が目安となります。売却した価格よりも高くなるのは、買主であるリースバック会社の諸経費や利益が上乗せされるためです。
買戻し価格の具体的な計算方法
買戻し価格は、リースバック契約を結ぶ時点で、その金額や計算方法が定められるのが通常です。多くの場合、以下のようなシンプルな計算式が用いられます。
買戻し価格 = 売却価格 × 1.1 〜 1.3
この掛け率は、リースバック会社の方針や、買戻し可能期間の長さなどによって変動します。契約前の段階で、複数の会社から見積もりを取り、買戻し価格の条件を比較検討することが重要です。
買戻し価格が変動する要因
買戻し価格は、主に以下の要因によって変動します。
- • リースバック会社の利益設定
買主である事業者が、事業としてどれくらいの利益を見込んでいるかによって設定が変わります。 - • 買戻しまでの期間設定
買戻しまでの期間が長いほど、価格が高めに設定される傾向があります。 - • リースバック中の家賃設定
家賃が相場並みであれば買戻し価格は相場並みとなりますが、家賃を相場より高めに設定した場合、買戻し価格が低くなる可能性もあります。なぜなら、買主がリースバック期間中に相場より高い利益を得ているためです。 - • 周辺の不動産市況
契約内容によっては、将来の不動産市場の価格変動を加味するケースも稀にありますが、多くは契約時に固定されます。
3.リースバックの買戻しが難しいと
言われる3つの理由
「リースバックの買戻しは難しい」と耳にすることがありますが、なぜでしょうか。その背景には、主に3つの理由があります。理由を正しく理解し、事前に対策を立てることが成功の鍵です。
理由1:買戻し資金の調達が困難
最大のハードルは、買戻しに必要な数千万円単位の資金をどうやって準備するかという点です。売却価格の1.1倍〜1.3倍の金額を現金で用意するのは、多くの人にとって簡単ではありません。そのため、ほとんどの場合、住宅ローンの利用を検討することになりますが、それが次のハードルにつながります。
理由2:住宅ローンの再審査が厳しい
一度手放した家を買い戻すために、再度住宅ローンを組むことは可能ですが、その審査は決して甘くありません。
金融機関は、「なぜ一度家を手放す必要があったのか」という背景を慎重に見ます。リースバックを利用したという事実自体が直接審査に影響するわけではありませんが、「資金繰りに困った経緯がある」と見なされ、返済能力をより厳しくチェックされる傾向があるのです。また、以前のローン完済時から年齢も重ねているため、健康状態や定年までの期間なども審査に影響します。
理由3:買主(投資家)が
売却に応じない
これは、契約時に「買戻し特約」を付けていなかった場合に起こりうる最悪のケースです。
買主(投資家)からすれば、買戻しの約束がない限り、わざわざ手放す理由がありません。口約束だけでは何の効力も持たないため、必ず契約書で買戻しの権利を明記しておく必要があります。
4.買戻しで住宅ローンは利用できる?
審査のポイント
買戻しの成否を分ける「住宅ローン」。
ここでは、その利用可能性と審査で重要視されるポイントを詳しく見ていきましょう。
結論:住宅ローンの利用は可能だが
審査が厳しい
改めて結論をお伝えすると、リースバック後の買戻しで住宅ローンを利用することは可能です。しかし、前述の通り、新規でローンを組む場合や、以前のローン審査時よりも慎重な審査が行われることを覚悟しておく必要があります。
金融機関は、あなたが「将来にわたって安定的に返済を続けられるか」を最も重視します。
住宅ローン審査で重視される項目
審査を通過するためには、以下の項目で良好な状態を証明することが重要です。
安定した収入と勤務先の継続性
リースバックを利用した時よりも、収入が安定または増加していることが理想です。転職した場合は、勤続年数も重要視されます。自営業の場合は、複数年分の安定した事業所得を証明する必要があります。
信用情報(クレジットヒストリー)の状況
個人のローンやクレジットカードの利用履歴である「信用情報」は、審査で最も重要な要素の一つです。リースバック期間中の家賃滞納はもちろん、クレジットカードの支払いやその他ローンの返済遅延が一度でもあると、審査通過は極めて困難になります。
健康状態と団体信用生命保険への加入
住宅ローンを組む際は、**団体信用生命保険(団信)**への加入が必須となることがほとんどです。年齢が上がると、健康上の理由で団信に加入できず、ローンが組めないケースもあります。日頃から健康管理に気を配ることも、将来の買戻しに向けた準備の一つと言えるでしょう。
住宅ローンが組めない場合の代替資金調達法
万が一、住宅ローンの審査に通らなかった場合でも、諦めるのはまだ早いです。以下のような代替手段も検討できます。
- • 親族からの資金援助
借入 ご両親やご兄弟など、親族に資金力があれば、援助や借入を相談するのも一つの方法です。 - • ノンバンクの不動産担保ローン
銀行に比べて金利は高くなる傾向がありますが、審査基準が比較的柔軟なノンバンク系の金融機関でローンを組む方法です。 - • 親子リレーローン
ご自身と子どもの収入を合算してローンを組む方法です。ご自身の年齢や収入に不安がある場合に有効な選択肢となります。
リースバック後、買戻したいけど...
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そんな方こそご相談ください。
5.買戻しを確実にする「買戻し特約」の重要性
将来の買戻しを成功させるために、契約内容、特に「買戻し特約」が決定的に重要です。
買戻し特約とは?契約に必須の条項
買戻し特約とは、一度売却した不動産を、売主が将来一定の条件のもとで一方的に買い戻すことができる権利を定めた、売買契約上の特別な条項です。
この特約が契約書に明記されていれば、あなたの買戻しの権利は法的に保護されます。逆に言えば、この特約がなければ、将来買い戻せる保証はどこにもありません。
買戻し特約のメリット・デメリット
買戻し特約には、メリットだけでなくデメリットも存在します。両方を理解した上で判断しましょう。
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メリット
•将来の買戻しが保証される 買主の都合に関わらず、定められた期間内であれば一方的に買い戻す権利を行使できます。 •将来設計が立てやすい 買戻し価格が事前に決まるため、資金計画を具体的に進めることができます。
デメリット
•売却価格が低くなる可能性がある 買主側は将来買い戻されるリスクを負うため、特約なしの場合に比べて売却価格(=調達できる資金額)が低くなることがあります。
•家賃が相場より高くなることがある 月々の家賃が割高に設定されるケースもあります。
契約書で確認すべき4つのチェックポイント
買戻し特約を付ける際は、契約書で以下の4点を必ず確認してください。曖昧な点があれば、納得できるまで説明を求め、必要であれば修正を依頼しましょう。
買戻し価格の明確な記載
「売却価格の1.2倍」といった計算式や、具体的な金額がはっきりと記載されているかを確認します。「協議の上で決定する」といった曖昧な表現は避けなければなりません。
買戻しが可能な期間の設定
「契約から3年後以降、10年後まで」のように、買戻し権利を行使できる期間(始期と終期)が具体的に明記されているかを確認します。
買戻しの権利を行使できる条件
買戻しの意思を、いつまでに、どのような方法(書面など)で通知する必要があるのか、手続き上の条件を確認します。
買戻し時の登記費用の負担者
登記費用は買戻しをする本人が負担する事が通常です。
6.「リースバックの買戻し」よくある質問
リースバックの買戻しに関して多くの方が抱く疑問にお答えします。
買戻しをしない選択はできますか?
はい、もちろん可能です。 買戻しはあくまで「権利」であり、「義務」ではありません。状況が変わり、買戻しをする必要がなくなった場合は、そのまま賃貸として住み続けるか、契約期間満了時に退去するかを選択できます。
親族が買い戻すことは可能ですか?
可能な場合もあるかもしれませんが、契約内容によるでしょう。具体的な調査は行っていませんが、恐らく、子どもや兄弟などの「親族による買い戻し」を認めているリースバック会社は、ほぼ無いのではないか、と思います。もし、将来的に親族による買戻しも視野に入れている場合は、契約時に「買戻しの権利を行使できるのは本人に限るか、親族も含まれるか」を必ず確認しておきましょう。
買戻し価格の交渉はできますか?
契約後の交渉は、基本的に非常に困難です。 買戻し価格は、リースバック契約を締結する時点で決定されるのが一般的です。そのため、価格交渉は契約を結ぶ前に行う必要があります。複数の会社を比較検討し、最も条件の良い会社を選ぶことが重要です。
買戻しに必要な諸費用はありますか?
はい、売買代金の他に以下のような諸費用がかかります。 買戻しも不動産購入の一種ですので、様々な費用が発生します。資金計画には、これらの費用も忘れずに含めておきましょう。
- • 不動産取得税
- • 登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
- • 売買契約書の印紙税
- • 住宅ローンを利用する場合の諸費用(保証料、手数料など)
7.まとめ
今回は、リースバックにおける「買戻し」について、その仕組みから価格相場、住宅ローンの 利用、成功のポイントまでを詳しく解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返ります。
- • リースバックの買戻しは可能だが、事前の準備がすべて
- • 成功の絶対条件は、契約書に「買戻し特約」を明記すること
- • 買戻し価格の相場は「売却価格の1.1倍〜1.3倍」が目安
- • 住宅ローンの再審査は厳しい。リースバック期間中の収入安定と良好な信用情報が鍵
- • 契約前に複数の会社を比較し、買戻しの条件をしっかり確認することが最も重要
愛着のある我が家を将来取り戻すという目標は、決して夢物語ではありません。正しい知識を身につけ、計画的に準備を進めることで、その可能性は大きく高まります。
この記事が、あなたの「買戻し」という希望を実現するための一助となれば幸いです。まずは信頼できるリースバック会社を探し、相談することから始めてみましょう。



