
向井 啓和 不動産アドバイザー
不動産・資産運用分野で20年以上の経験を持ち、シニアの住まい・リースバック支援・不動産の相続対策等に注力。わかりやすく、クリアな情報提供をモットーにしています。
※本記事でご紹介した内容は、2025年6月3日作成時の、市場データや公表資料をもとにまとめた一般的な情報です。物件の条件や時期によって状況は変わるため、具体的な契約判断は当社窓口や専門家にご相談ください。(2025年12月12日更新)
近年、高齢者の方を中心に注目されている「リースバック」。自宅を売却して現金化しつつも、引き続きその家に住み続けられるという仕組みは、リバースモーゲージより使い勝手がよく、老後の資金確保や、相続対策、住宅ローン返済など、さまざまな事情にマッチした手段として関心が高まっています。しかし、リースバック契約にはいくつかの種類・条件が存在し、それによって将来の選択肢が大きく変わってきます。
中でも「買戻し」=「将来もう1度自宅を買い戻す」ことを希望される方は少なくありません。
この記事では、リースバックの実態、特に買戻しの仕組みと注意点について、投資家や不動産会社の視点も交えながら専門家がわかりやすく解説します。
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リースバック後の買戻しを検討中の方へ。自宅の再取得を成功させるための全知識を専門家が解説します。
買戻し価格の相場や決定方法、売買代金以外に必要な諸費用、そして買戻しをしない選択肢など、契約前に知っておくべき重要事項を網羅。将来の安心のための知識を提供します。
目次
- 1.リースバックの買戻し手続きとは?
- 2.買戻し(売買予約)と買戻し特約の違いは?
- 3.買戻し条件を明確に記載する
- 4.リースバックで買戻し不可の場合
- 5.リースバックの買戻しでよくあるトラブル事例
- 6.リースバックの買戻し特約が高額になる理由
- 7.買戻しは難しい?現実はどうなの?
- 8.まとめ:リースバックで買戻しを考える際に知っておくべきこと
1.リースバックの買戻し手続きとは?
リースバックの買戻し手続きとは、持ち家や自己使用のオフィスや事業所を一旦売却し、そのまま賃借人として利用しながら、将来的に物件を買い戻せるようにするための重要なプロセスです。
買戻し手続きには、主に「買戻し(売買予約)」と「買戻し特約」という2つの方法があります。これらの手続きを行うことで、売却後も一定期間内に物件を買い戻す権利を確保できます。
①買戻し(売買予約)
買戻し(売買予約)とは、リースバック契約において、将来的に自宅を買い戻すことを約束するものです。リースバック契約後、元の所有者が自宅を買い戻せるようにする仕組みです。
<買戻し予約のポイント>
✅買戻し権の設定
✅買戻し期間の設定
✅買戻し価格の決定
これらの条件を契約時に明確に定めることで、将来的なトラブルを避けることができます。 買戻し予約は、リースバックを利用する上で、安心感を得るための重要な要素となります。
②買戻し特約
買戻し特約は、将来的に物件を買い戻せる権利を契約時に定めるものです。買戻し特約は、リースバック契約時に設定される特別な条項です。
<買戻し特約のポイント>
✅買戻し「期間」
✅買戻し「価格」
✅契約「内容」
これらの要素を明確にすることで、後々のトラブルを避けることができます。買戻し特約は、売主(リースバック利用者)にとって、将来的に不動産を取り戻すための重要な手段となります。
2.買戻し(売買予約)と買戻し特約の違いは?
買戻し(売買予約)と買戻し特約は、将来的に売ったものを買い戻せる権利を定める点で共通しますが、契約成立のタイミング、期限、価格、対象資産、権利の性質に違いがあります。これらの要素が、それぞれの制度の利用目的やリスクに影響を与えます。それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
買戻しの契約成立タイミング
買戻しの契約成立タイミングは、買戻し(売買予約)と買戻し特約で異なります。
買戻し(売買予約)の場合、買主(リースバック事業者)が売却の意思表示をした時点で契約が成立します。つまり、買主が「この金額であなたに売り渡します」と意思表示し、あなたがそれを承諾した時点で、売買契約が成立するということです。
<契約成立のタイミング>
✅買戻し(売買予約): 買主の意思表示と承諾
✅買戻し特約: 特約期間満了時に成立
一方、買戻し特約の場合は、 特約期間が満了した時点で、あらかじめ定められた条件に基づいて自動的に売買契約が成立すると解釈できます。
買戻しの期限
買戻しの期限は、契約内容によって異なります。
買戻しの期限は、買主(リースバック業者)との契約時に定められた期間内に限られます。この期間を過ぎてしまうと、原則として買戻しはできなくなります。
<買戻し期限を決める要素>
✅契約の種類
✅買主の意向
✅物件の評価
✅資金計画
これらの要素を考慮して、買戻し期限は慎重に決定される必要があります。買戻しを検討している場合は、契約内容をしっかりと確認し、期限内に手続きを進めるようにしましょう。
買戻し価格
リースバックにおける買戻し価格は、将来の不動産価格変動リスクや、リースバック期間中の固定資産税・修繕費などを考慮して決定されます。そのため、一般的に売却価格よりも高くなる傾向があります。
リースバック契約は、買戻しを前提とする場合、売主(リースバック利用者)は将来的に不動産を買い戻すための費用を把握しておく必要があります。
※買戻し価格に加えて仲介手数料や登記費用などがかかる場合もあります。
買戻しの権利
買戻しの権利とは、リースバック契約において、売却した不動産を将来的に買い戻せる権利のことです。
この権利は、売主(リースバック利用者)にとって、将来的に再び自宅を所有したいという希望を叶えるための重要な要素となります。
<買戻し検討ポイント>
✅資金計画
✅市場動向
✅家族の状況
✅物件の状態
✅契約内容
これらの要素を総合的に考慮し、慎重に判断することが重要です。 買戻しは、売主にとって経済的な負担となる場合もあります。 将来の経済状況や不動産市場の動向を予測し、無理のない資金計画を立てることが不可欠です。また、家族構成の変化やライフスタイルの変化も考慮に入れる必要があります。
3.買戻し条件を明確に記載する
買戻し条件の明確な記載は、リースバック契約において非常に重要です。なぜなら、将来的な買戻しを円滑に進めるためには、契約時に買戻しに関するすべての条件を明確に合意しておく必要があるからです。
<記載すべき買戻し条件>
✅買戻し価格の決定方法
✅買戻し可能な期間
✅諸費用の負担区分
これらの条件を曖昧にしたまま契約締結してしまうと、後々トラブルに発展する可能性があります。
例えば、買戻し価格が市場価格と大きく乖離していたり、買戻し期間が短すぎて資金調達が間に合わなかったりするケースが考えられます。明確な条件を定めることで、このようなリスクを回避し、安心してリースバックを利用することができます。
4.リースバックで買戻し不可の場合
リースバック契約で買戻しが不可となる主なケースは、家賃の滞納、買戻し資金の不足、そして契約時の買戻し条件の不備です。これらの状況に陥ると、将来的に家を買い戻したくても難しくなってしまいます。
契約時に買戻し条件が定められていない場合
リースバック契約において、契約時に買戻し条件が定められていない場合、原則として買戻しはできません。なぜなら、リースバックは不動産の売買契約であり、買戻しはあくまで契約上の特約として成立するからです。
買戻しに関する条項が契約書に明記されていない場合、売主(元の所有者)は買戻しを要求する権利を持ちません。
5.リースバックの買戻しでよくあるトラブル事例
リースバック後の買戻しは、将来的に自宅の所有権を取り戻すことができるという選択肢ですが、注意すべき問題点も存在します。よくあるのが、買戻し価格が高額に設定されているケースです。また、契約条件を満たしているにも関わらず、様々な理由をつけて買戻しを拒否される事例も見られます。これらの問題事例について、以下で詳しく解説していきます。
トラブル事例①:高額な買戻し価格
高額な買戻し価格は、リースバックにおけるトラブルの代表例です。
これは、リースバック契約の構造に起因します。リースバックは、不動産会社や投資家が買主となるケースが多く、彼らは利益を追求します。
<買戻し価格が高くなる理由>
✅不動産価値の上昇
✅契約時の金利設定
✅諸経費の上乗せ
✅業者の利益確保
これらの要因が重なり、買戻し価格が当初の売却価格を大幅に上回ることがあります。契約時には、将来的な買戻し価格の算出方法や条件をしっかりと確認し、理解しておくことが重要です。最終的に、高額な買戻し価格で買い戻せなくなるという事態を避けるためにも、契約内容を慎重に検討しましょう。
トラブル事例②:契約条件に違反して買戻しできない
リースバック契約では、契約条件を遵守しないと買戻しが不可能になるケースがあります。
これは、リースバック契約が単なる不動産の売買ではなく、賃貸借契約と買戻しのオプションが組み合わさった複合的な契約であるためです。
<契約条件違反の例>
✅家賃滞納
✅無断増改築
✅契約違反行為
上記の様な契約違反があった場合、リースバック会社は契約解除を申し立て、買戻しの権利を失う可能性があります。契約内容を十分に理解し、遵守することが重要です。
買戻しを希望する場合は、契約内容を再確認し、違反がないか確認しましょう。不安な場合は、専門家へ相談することをおすすめします。
6.リースバックの買戻し特約が高額になる理由
リースバックの買戻し価格が高額になる背景には、投資家や不動産会社が、買主として存在することが大きく影響します。彼らは物件を将来的に売却することで利益を上げることを目的としているため、買戻し価格にはその利益が上乗せされる傾向があります。
買主側の事情が、買戻し価格に反映されることを理解しておきましょう。 買戻しを検討する際は、契約書に記載された買戻し条件をしっかりと確認することが重要です。
リースバックの「反対側」にいるのは投資家や不動産会社
リースバック契約の相手型である買主は、たいてい不動産会社か不動産投資家です。ここで大切なのは彼らは慈善事業ではなく、利益を目的に動いているという現実です。
リースバックを通じて買主側は以下のような出費を抱えることになります。
■たとえば3,000万円の物件を購入した場合
【変動費】
約120万円
< 内訳 >
●固定資産税・火災保険修繕費など:年間 約 30万円
●借入金の利息(年利3%と仮定):年間 90万円
【固定費】
●購入代金:3,000万円
●諸費用(仲介手数料・登録費用など):約 150万円
【収入】
●賃料:月12万5,000円×12か月=年間 約 150万円
<収入-変動費=表面利益>
→ 年間の表面利益はわずか30万円程度に。
つまり、リースバック期間中の収益は極めて限定的で、実は「耐える期間」なのです。
買主が本当に利益を得るのは「売却時」
買主が本当に利益を得るのは、物件の売却時です。
リースバック期間終了後、買主は以下のような手段で利益を確保します。
✅再販売(空き物件として)
✅建替え・開発して売却
この時、利益を確保するためには売却価格が元の購入額より20~30%以上高くなる必要があります。
例えば
●購入費用総額:3,150万円
●目標売却価格:3,622万円(+15%)
●売却にかかる手数料:119万円(約11%)
→実質利益:353万円程度(約11%)
このように、不動産会社・投資家側にとってリースバックは長期的に売却時や開発時のリターンを狙う投資なのです。
7.買戻しは難しい?現実はどうなの?
リースバック後の買戻しは可能ですが、現実はそう簡単なものではありません。結論から言えば、「買戻し特約を結んでも、実際に買い戻す人は少数」です。
なぜなら
✅3,000万円で売った家を、3,600万円~3,900万円で買い戻す必要がある
✅その間、家賃も払い続けている
→手元の資金が大幅に減っている状態で売却した価格より高い価格の不動産を再購入するのは、非常にハードルが高いのです。
買戻しを視野に入れている場合は、契約時に買戻し条項をしっかりと確認し、 資金計画を綿密に立てておくことが重要です。
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8.まとめ:リースバックで買戻しを考える際に知っておくべきこと
リースバックで買戻しを検討する際、最も重要なことは、将来のライフプランを明確にすることです。リースバックは、自宅を売却後も賃貸として住み続けられる便利な制度ですが、買戻しを前提とする場合、注意すべき点があります。
<検討時に知っておくべきこと>
✅資金計画
✅契約内容
✅市場動向
これらの要素を総合的に考慮し、慎重に判断することが大切です。資金計画では、買戻し価格だけでなく、将来の収入や支出も考慮に入れる必要があります。
契約内容については、買戻し条件や期間をしっかりと確認しましょう。また、市場動向も重要です。不動産価格の変動によって、買戻し価格が予想以上に高くなる可能性も考慮しなければなりません。リースバック自体も、買戻しも、メリット・デメリットがあります。将来のライフプランに合わせて、最適な選択をしましょう。
リースバックの買戻しで知っておくべき3つのこと
1. 買戻しは特約無しでは不可能。価格も高額になる傾向
2. 投資家・不動産会社は「将来売却益」で利益を得る
3. 買戻し特約を結んでも、現実には履行が困難なケースが多い
リースバックを検討する際には、こうした実情を正しく理解した上で、将来のライフプランと照らし合わせた判断が大切です。 不明点があれば、まずは信頼できる専門家や、当社「マイホームだけは守らナイト」の無料相談をご利用下さい。
「リースバック後、買い戻すはずだったのに」と後悔しないために。まずは安心して話せる専門家に相談するところから始めてみませんか?あなたの大切なマイホーム、安心できる形で守りましょう。
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